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文芸サークル「鉄人四迷」のページ

文芸サークル「鉄人四迷」のページです。 オリジナルの小説・詩・脚本を発表しています。

「黒色の部屋と壊れゆく白色の椅子」(空疎)

 ひとつの部屋があった。

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「霧の船」(小石薫)

水面は茫洋として
霧は深くたちこめ
石造りの船を
抱いて浮かべている

櫂を握って船を漕ぐ
あの人には何があるだろう

櫂を握る腕と
船の底を踏みしめる足と
遠くを見つめる瞳と
それらの中を走る血管と
そしてその中を流れている物語と

渾然一体として
船は行く
石の船を漕いで
あの人は行く

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「余白」(I)

ぶらんこの支柱に足を絡ませて冷たい蜂が喉を這ってく



海の世にたゆたう海の歯車にくらげ挟まり海凪いでいく



ちんぽこの先にお花が生えてきてロックシンガーのような影である



人の背に四角い穴があいていてティッシュのような薄い肉ひらり



ぼくんちの屋根はおんなのスカートだから二階は妙なにおいがするの



魂を迎えくるたび肥え太る天使の耳の産毛のあぶら



夢の中の医師に出されしおくすりの量を間違え乳臭き朝

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「くらげ」(I)

 毒くらげから薬の成分を取り出すためには、毒くらげを手で揉む必要がある。

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「西城美代子の日記」(小石薫)

 ○月○日
 もともと他の誰かに見せるものでもないから、今日は少し湿っぽいことを書いてみようと思う。
 今日、国語の授業で宮澤賢治の『永訣の朝』をやった。読みをあてられたのが私ではなかったし、学校だったから泣かなかったけれど、突然昔の事が思い出されて、しばらく呆然としてしまった。思い出したのは、死んだおじいちゃんのことだ。

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「散りゆく私たちの街」(空疎)

 春になると花が咲く。その花びらの上に、街が生まれる。

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「エリナー・リグビーと最後の日」(I)

 蛇に咬まれた。あと1日の命だという。

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短編小説「五島迅太郎は夢を見る」(空疎)

企画説明はこちら。


1999年7月9日(金)

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「花のほとり」(I)

(明るい病室の簡素なベッドで少女が本を読んでいる。腕には点滴、枕元にナースコール。そして口には、酸素マスクのようなものをはめている。それは巨大な花である。百合に似ているが、とてつもなく大きい。)

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「but Miranda will die, but」(空疎)

 あたしは友達からミランダって呼ばれてる。一応言っておくと、本名じゃない(本名はヨシコ)。なんでミランダなのかは長くなるから省略するけど、名付け親はこのあたし。あたし自らみんなにミランダって呼んでって言ったの。だからそれ以来、みんなあたしのことはミランダって呼んでくれてる。
 もうちょっとだけ自己紹介をしておくと、あたしは大学三年生。ひどい田舎の実家から出てきて、今は東京で一人暮らししてる。最初は興奮したわ、憧れの東京生活。だってあたしは高校に上がるまで、東京って架空の土地だと思ってたから。東京のあたし、ステキ!

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文芸サークル「鉄人四迷」の作品を公開しています。
小説・詩・脚本を中心に、月ごとのテーマ読み物など随時更新中。
それぞれ違うタイプの作家たちによる、バラエティ豊かな作品をお楽しみください。(作者紹介はこちら。
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なお、当サイトで公開している各作品の著作権はすべて作者に帰属します。
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作者紹介

空疎

あなたはただのゼリーです
見える光は全部嘘
聞える音は全部嘘
あなたはただの
ふるえるゼリー
ひとりふるえる
ただのゼリー

中編小説「ゼリーの見た夢」より


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六井 象/I

 失恋した友人が髪の毛を短く切ってきた。
 彼女の髪の毛の中に、爆弾の導火線が一本混じっていたと知ったのは、それからすぐ後のことだった。


短編小説「鋏」より

個人サイト

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小石薫

美代子は必死だ。一生懸命に声を張り上げて、誰かが、聞いて、興味を持って、自分のいる教室のドアを開けてくれることを、ずっと待っている。
 伝えたいことがあると言った。
 私には、あるだろうか。伝えたいもの。伝えたい気持ち。私の中にあるのは、ぬるく、濡れそぼった、この、寂しさだけ。

短編小説「夕焼け校舎」より


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金魚風船


「私の事、好き?」


「え?」


「ごめん、いきなり」


「ごっつ好きやで」


「ほんとに?」


「当たり前やろ、俺のたった一人の娘なんやから」


「そっか」


間。



「やっぱ、別のことしよっか」


「え? なんで? 凄い楽しいのに」


「じゃあ、もっと楽しそうにやれよ。そんな下ばっかり見とったらな、楽しい事も嬉しいことも、いつの間にか全部通り過ぎてしまうぞ」

短編脚本「お父さん」より

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