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文芸サークル「鉄人四迷」のページ

文芸サークル「鉄人四迷」のページです。 オリジナルの小説・詩・脚本を発表しています。

「檸檬」(I)


 夕方、コンビニに行った帰り道、ふといつもと違う道を歩きたくなり、ビルとビルの間の狭い路地に入ってみると、案の定慣れない道に迷ってしまった。

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(詳しくはこちらをご参照ください。)
配置等、詳細は後日改めてお知らせします。

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「万寿坂」(小石薫)

私が生まれたこの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
めでたい名前の坂がある

母は坂を降ると言う
麓のスーパーに買い物へ行く時に
必ず通る万寿坂
母は買い物へ行く時には
坂を降るといつも言う

私が育ったこの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
避けて通れぬ坂がある

仲間は坂を登ると言う
丘の上の学校に毎朝通う時に
必ず通る万寿坂
私らの登校は文字通り
坂を登るとみんな言う

私が捨てたあの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
恋しい名前の坂がある

彼はいつか見たいと言う
私がふるさとの思い出を話す時に
必ず通る万寿坂
私らがいつも歩いた坂を
いつか見たいと彼は言う

私が夢見るあの街に
万寿坂という坂がある

万寿坂という坂がある

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「ビーム」(I)

開店前の寿司屋。
薄暗い店内で板長の「大塚」と、若い板前の「木下」が黙々と仕込みをしている。
木下、ふいに作業の手を止め、天井を仰ぎ、

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「メメ・エレファント」(I)

通りに立ち並ぶ街灯の中に、青い光を放つものが幾本か混じっている。

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「星を喰らう魚」(空疎)

テーマ:空の魚



 満月の綺麗な夜に、私は海まで釣りに来た。

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「宇宙の果てまでヒッチハイク」(金魚風船)

テーマ:空の魚



●ある郊外の一本道。

一台の車が走って来る。車には一人の男。

その時、フロントガラスの先にまだ幼い一人の少女が手を上げて立っているのが見える。

男、そのまま走り抜けようとするがブレーキをかける。窓から顔を出す男。



「……」


黙ったまま立っている少女。



「どうしたの?」

少女
「ヒッチハイク」

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「空の魚は空で死ぬ」(I)

テーマ:空の魚



空の魚は空で死ぬ
ひっそりと土へ帰ることもできず
柔らかな宇宙へ吸い込まれることもなく
干からびたからだは空中を漂い
うろこはいっせいに風にねじられ
空の魚は腐りながら少しずつ
私たちの見えない場所へ流されていく
甘酸っぱい死臭が風に散る頃
口笛にさえ埃の溜まるこの部屋では
ラジオはボブディランを脱ぎ捨てて
窓の外の夜は白々と明けていく
赤く腫れ上がったちんぽこは
なんでもない光に抱かれている

>>>

真夏の土曜の昼下がり
おんなのひとに会いに行く
汗をだらだらかきながら
踏み切りに立っている
黒い手袋が
動物の死骸のように
ひかれてぺちゃんこになっている
いやあれは本当に動物なのかもしれない
しれないしれない
どうでもいいや
イヤホンの中で65年のジョンレノンが
うぬぼれた愛をわめいている

言葉と思考の曲がり角を
何でもないふうを装いながら
こそこそと歩き進む
だらだらと流れる言葉が
靴先に弾けてしぶきになる

詩と死は思いがけず人を襲う
みたいなことを言ったのは
たにかわしゅんたろうだったか
うちのばあさんだったか
きゃりーぱみゅぱみゅの新曲だったか
まあ 誰だっていいんだけど



おとといレンタルビデオ屋で見た
(もちろんのれんの向こう側で見た)
素人投稿物のDVDのパッケージ
肉色と肉色の隙間に小さく

“オマンコってほんとーに飽きないなぁ!”

だって
涼しい明朝体で

あんな詩をかけるようになるには
あと何度生まれ変わればいいのか
のれんのこちら側に戻ってしばらく経つが
いまだに答えは出ていない

>>>

真夏の土曜の昼下がり
おんなのひとに会いに行く
おんなのひとの空想の子を
抱き上げて頬にキスをする
そのとき
目の前を女子高生の
汗ばんだ腿が通り過ぎていった
あれは詩人の爺さんが
ひろい運動場で見た
白くあるひはあはあはしい栗色をした
娘たちの手足に似ているのかもしれない
空想の娘を抱きしめながら
帰りに女子高生もののAVを借りようと考えて
髭の汚い頬を撫でているぼくは
相原コージの漫画みたいだ

<<

そうだ、
そういえば、
きいてよ、
うまれたばかりの赤ちゃんってね、
おニク屋さんのにおいがすんの、
ほんとほんと、
あれはきっと、
ひとのうちがわのにおいなんだろうね

こないだお母さんになったSちゃんは
運動公園のベンチでそんなことを言った
それはおそらく一篇の詩で
並木の影には
巨きな蝶が閉じ込められていた

>>>

真夏の土曜の昼下がり
おんなのひとに会いに行く
それより なんだ 蝉がうるせえ

<<<

(空の魚は空で死ぬ)
ホテルへ向かう車の中で
女は話のかみ合わない夫への愚痴をこぼす
私はそれをうなずきながら聞いている
穴の開いた約束事に曖昧に笑い
真っ暗な県道を
道徳を踏みつけながら走っていく赤い車
(空の魚は空で死ぬ)
一泊分の料金を精算機へ滑り込ませ
やにと黴のにおいがするベッドの上で
病人の睦言のような
空気清浄機の音を聞きながら私は
動物のにおいがする
幾何学的な肌の表面に
黄ばんだ舌を這わせ
襞と襞の奥へ
人差し指をめいっぱい滑り込ませる
それから女は
眠そうな顔でひざまずき
私のちんぽこを
何のためらいもなくくわえこむ
舌は秩序のもとにてきぱき動き
私は一人ぼっちで
鼻の穴を膨らませている
(空の魚は空で死ぬ)
女が私の上に乗り
私が女の上に乗り
互いの体に歯形をつけて
夜の寂しさを誤魔化している
息を切らせながら
着膨れた言葉で愛を茶化している
やがて全部おしまいになって
空調の風が
背中を乱暴にノックする
(空の魚は空で死ぬ)
だだっ広い浴室で
シャワーを浴びながら
女は馬鹿な上司への愚痴をこぼす
私はそれをうなずきながら聞いている
(空の魚は空で死ぬ)
湯冷めした体を
しみだらけのベッドへ潜りこませ
シーツや枕の隙間に
手がかりを探しながら
唇を変な風によじらせて
いっぱしの大人を気取ろうとしている
やがて言葉が途切れ
女が寝息を立てる頃
私はさっきまで女の髪をなでていた
ぶらぶらの指で
頬の吹き出物を潰す
みじめな痛みが膿になって流れ出る
(空の魚は空で死ぬ)
消灯のスイッチを入れると
まだ夜の1時だというのに
風も光もなくなって
(魚)の気配は
夜の皮膚から遙か彼方へ

>>>>

親父は安酒で酔っ払い
中学生のころ
ドラマの撮影を見に行って
松田優作と目が合った思い出を延々と語り続ける
『探偵物語』の撮影だと言い張っているが
真偽を確かめる術はない

松田優作は本当のことしか言わないんだ
本当のことを言っているのは優作だけだ

あと藤井貞和と
イッセー尾形
それから奥田民生も(ただし『30』まで)

結構いるじゃねえか!






それより なんだ 蝉がうるせえ
真夏の土曜の昼下がり
おんなのひとに会いに行く
あれもおそらく一篇の詩
汗が流れてへそを撫でていく
それもおそらく一篇の詩
歳月の影で火柱をあげる思い出されぬ言葉の亡骸
空で生まれて空で死ぬ
空の魚たち
どれもおそらく一篇の詩



それより なんだ

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「空の魚」(小石薫)

テーマ:空の魚



ご無沙汰しております
その後お変わりありませんか?
私は今空を泳いでいます

太陽は暖かくて気持ち良いけれど
時々暑くて喉が渇きます

雲は冷たくて気持ち良いけれど
時々寒くてくしゃみがでます

空は、とても良いところです
だから、海が恋しいなんて、言いません

どうかいつまでもお元気で
もう、海には帰りません

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「world is mine ~世界が君を愛してる~」(小石薫)

曇り空君を包む
見えない空忘れた

慰める歌声さえ
聞けないまま時は過ぎ去る

もしもここでこのまま凍えきってしまえば
君を生かす愛さえ見えないまま

world is mine
明日が来れば
world is mine
陽がまた昇る
world is mine
朝焼けの光のなか
僕らあの日恋をしたね
そうさこの世界に


雨だって星のエール
涙隠す水のヴェール

俯いた君の横で
季節の花微笑んでる

君が気づかなくても愛はいつもここにある
君が顔を挙げれば見つけられる

world is mine
心の奥
world is mine
宿る記憶
world is mine
夕闇の中にいても
僕らまたね恋ができる
いつかこの世界に

(world is mine)

world is mine
心の奥
world is mine
宿る記憶
world is mine
寂しい時は思い出して
顔を挙げて瞳あけて
歩いてゆく呪文

君を愛している

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当サイトについて

文芸サークル「鉄人四迷」の作品を公開しています。
小説・詩・脚本を中心に、月ごとのテーマ読み物など随時更新中。
それぞれ違うタイプの作家たちによる、バラエティ豊かな作品をお楽しみください。(作者紹介はこちら。
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なお、当サイトで公開している各作品の著作権はすべて作者に帰属します。
掲載された文章の無断転用を禁じます。

作者紹介

空疎

あなたはただのゼリーです
見える光は全部嘘
聞える音は全部嘘
あなたはただの
ふるえるゼリー
ひとりふるえる
ただのゼリー

中編小説「ゼリーの見た夢」より


---------------------------

六井 象/I

 失恋した友人が髪の毛を短く切ってきた。
 彼女の髪の毛の中に、爆弾の導火線が一本混じっていたと知ったのは、それからすぐ後のことだった。


短編小説「鋏」より

個人サイト

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小石薫

美代子は必死だ。一生懸命に声を張り上げて、誰かが、聞いて、興味を持って、自分のいる教室のドアを開けてくれることを、ずっと待っている。
 伝えたいことがあると言った。
 私には、あるだろうか。伝えたいもの。伝えたい気持ち。私の中にあるのは、ぬるく、濡れそぼった、この、寂しさだけ。

短編小説「夕焼け校舎」より


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金魚風船


「私の事、好き?」


「え?」


「ごめん、いきなり」


「ごっつ好きやで」


「ほんとに?」


「当たり前やろ、俺のたった一人の娘なんやから」


「そっか」


間。



「やっぱ、別のことしよっか」


「え? なんで? 凄い楽しいのに」


「じゃあ、もっと楽しそうにやれよ。そんな下ばっかり見とったらな、楽しい事も嬉しいことも、いつの間にか全部通り過ぎてしまうぞ」

短編脚本「お父さん」より

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