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文芸サークル「鉄人四迷」のページ

文芸サークル「鉄人四迷」のページです。 オリジナルの小説・詩・脚本を発表しています。

「万寿坂」(小石薫)

私が生まれたこの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
めでたい名前の坂がある

母は坂を降ると言う
麓のスーパーに買い物へ行く時に
必ず通る万寿坂
母は買い物へ行く時には
坂を降るといつも言う

私が育ったこの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
避けて通れぬ坂がある

仲間は坂を登ると言う
丘の上の学校に毎朝通う時に
必ず通る万寿坂
私らの登校は文字通り
坂を登るとみんな言う

私が捨てたあの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
恋しい名前の坂がある

彼はいつか見たいと言う
私がふるさとの思い出を話す時に
必ず通る万寿坂
私らがいつも歩いた坂を
いつか見たいと彼は言う

私が夢見るあの街に
万寿坂という坂がある

万寿坂という坂がある

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文芸サークル「鉄人四迷」の作品を公開しています。
小説・詩・脚本を中心に、月ごとのテーマ読み物など随時更新中。
それぞれ違うタイプの作家たちによる、バラエティ豊かな作品をお楽しみください。(作者紹介はこちら。
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作者紹介

空疎

あなたはただのゼリーです
見える光は全部嘘
聞える音は全部嘘
あなたはただの
ふるえるゼリー
ひとりふるえる
ただのゼリー

中編小説「ゼリーの見た夢」より


---------------------------

六井 象/I

 失恋した友人が髪の毛を短く切ってきた。
 彼女の髪の毛の中に、爆弾の導火線が一本混じっていたと知ったのは、それからすぐ後のことだった。


短編小説「鋏」より

個人サイト

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小石薫

美代子は必死だ。一生懸命に声を張り上げて、誰かが、聞いて、興味を持って、自分のいる教室のドアを開けてくれることを、ずっと待っている。
 伝えたいことがあると言った。
 私には、あるだろうか。伝えたいもの。伝えたい気持ち。私の中にあるのは、ぬるく、濡れそぼった、この、寂しさだけ。

短編小説「夕焼け校舎」より


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金魚風船


「私の事、好き?」


「え?」


「ごめん、いきなり」


「ごっつ好きやで」


「ほんとに?」


「当たり前やろ、俺のたった一人の娘なんやから」


「そっか」


間。



「やっぱ、別のことしよっか」


「え? なんで? 凄い楽しいのに」


「じゃあ、もっと楽しそうにやれよ。そんな下ばっかり見とったらな、楽しい事も嬉しいことも、いつの間にか全部通り過ぎてしまうぞ」

短編脚本「お父さん」より

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