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文芸サークル「鉄人四迷」のページ

文芸サークル「鉄人四迷」のページです。 オリジナルの小説・詩・脚本を発表しています。

千羽鶴(金魚風船)

千羽鶴の中にそっと嫉妬を織り込む。

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黒電話の糸(金魚風船)

ツーツーと聞こえる黒電話の向こうはきっと宇宙と繋がっている。

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いつものあの人(金魚風船)

「金がない」が口癖のあの人は、カップラーメンを片手に研究書にかじりついてる。
時間は守らないし、すぐ嘘もつくし、そして何よりもやっぱり貧乏なあの人。
でも誰よりも優しいあの人。
そんなあの人が今日、初めての教壇に立つ。
ずっと夢見てきた、大学教授としての肩書きを背負って。
貸したお金をそろそろ返して欲しい頃だが、
慣れないネクタイを何度も結びなおしている姿を見てると、どうでもいい気がしてくる。
っていうのは私の都合の良い想像で、
あの人は相変わらず、お金がない。

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むだい(六井 象)

あたま が おもい おもい で おもい
いいこと ないか ないから ないた
おもいで もいで といれ に すてて
いいこと ないな ないから ないた

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自由律俳句 百首(2012-2016詠)(六井象)


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「蛇の囁き」(空疎)

こしょこしょこしょ

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「万寿坂」(小石薫)

私が生まれたこの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
めでたい名前の坂がある

母は坂を降ると言う
麓のスーパーに買い物へ行く時に
必ず通る万寿坂
母は買い物へ行く時には
坂を降るといつも言う

私が育ったこの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
避けて通れぬ坂がある

仲間は坂を登ると言う
丘の上の学校に毎朝通う時に
必ず通る万寿坂
私らの登校は文字通り
坂を登るとみんな言う

私が捨てたあの街に
万寿坂という坂がある
丘の上と麓を繋ぐ
恋しい名前の坂がある

彼はいつか見たいと言う
私がふるさとの思い出を話す時に
必ず通る万寿坂
私らがいつも歩いた坂を
いつか見たいと彼は言う

私が夢見るあの街に
万寿坂という坂がある

万寿坂という坂がある

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「world is mine ~世界が君を愛してる~」(小石薫)

曇り空君を包む
見えない空忘れた

慰める歌声さえ
聞けないまま時は過ぎ去る

もしもここでこのまま凍えきってしまえば
君を生かす愛さえ見えないまま

world is mine
明日が来れば
world is mine
陽がまた昇る
world is mine
朝焼けの光のなか
僕らあの日恋をしたね
そうさこの世界に


雨だって星のエール
涙隠す水のヴェール

俯いた君の横で
季節の花微笑んでる

君が気づかなくても愛はいつもここにある
君が顔を挙げれば見つけられる

world is mine
心の奥
world is mine
宿る記憶
world is mine
夕闇の中にいても
僕らまたね恋ができる
いつかこの世界に

(world is mine)

world is mine
心の奥
world is mine
宿る記憶
world is mine
寂しい時は思い出して
顔を挙げて瞳あけて
歩いてゆく呪文

君を愛している

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「いつだか思った言葉たち(吉祥寺の通りから)」(空疎)

拙歌六編

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「滴(Tちゃんへ)」(I)



おかあさんは
15時のキッチンで
昔不倫していた禿げた男が
ずいぶん前に寄越したメールを
日焼けしない指で読み返している

あなたの話はいつだって
「だけど」とか「でも」で始まって
イガイガするような理屈と過去と
さんざ乳くりあった挙句
最後には僕を透明にして
ひびわれたような顔で
ふてくされてしまう
僕が欲しかったのは
3ヶ月も4ヶ月も前に一度だけ触れた
あなたの小さな胸のぬくもり
僕は透明なまま
あなたの過去から姿を消すが
最後に一つ教えてほしい
これは大きな賭けなのよって
いつかあなたは言ってたけどさ
これって何のことだったの?

>>

おとうさんは
20時のカラオケボックスで
動物園のにおいがするスーツを
ソファに投げて
一人ウーロンハイを飲みながら
ヘイジュードをリクエストする
マイクのスイッチは切ってあるから
流れるのは瑞々しい伴奏だけ
ビートルズはいいよなと思うけど
何がいいのかは説明できない
隣の部屋から猫の喧嘩のような
歌声が聞こえてくる
あれはたぶんアンダルシアに憧れて
もちろん真島昌利のほう
ブルーハーツなんか好きじゃなかったけど
あれをきくと
息子が小さかった頃のことを思い出す
ドラえもんの本を指さしながら
これなぁに?って聞いたら
息子は
食べたことないからわかんない
って答えたんだ
あの大笑いから22年も経ってしまった

>>>

おにいさんは
22時の自室で
縮んだちんぽこを夜風に晒しながら
ダッチワイフの空気を抜いている
足踏みポンプがぜえぜえと
肩で息をしている
ふと目に入る
本棚のコカコーラ・レッスン
大学のゼミでやったきり
二度と読んだことがない気取った本
ローションがこびりついた指でぺらぺらめくれば
柔らかい言葉の横に引かれた
幾本ものマーカーのラインと
名辞とか名辞以前とか
意味とか無意味とか
他者とか自己とか存在とかとか
汚い文字で綴られたメモの数々
同じゼミの女の子のおっぱいが大きすぎて
結局何にもわからなかった
っていうか学校で習ったことなんて
ほとんど何も覚えていない
ぼんやり記憶を漂っているのは
国語の教科書の芥川
こちらをじっと見つめる視線が怖くて
タモリみたいなサングラスで
大きなあの目を塗りつぶしたんだっけ
気づけばダッチワイフが
足下でぺしゃんこになっている



7時のリビングで
かぞくは朝食を食べている
詩でも書けそうな静寂のなか
誰かが小さく咳をする

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当サイトについて

文芸サークル「鉄人四迷」の作品を公開しています。
小説・詩・脚本を中心に、月ごとのテーマ読み物など随時更新中。
それぞれ違うタイプの作家たちによる、バラエティ豊かな作品をお楽しみください。(作者紹介はこちら。
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作者紹介

空疎

あなたはただのゼリーです
見える光は全部嘘
聞える音は全部嘘
あなたはただの
ふるえるゼリー
ひとりふるえる
ただのゼリー

中編小説「ゼリーの見た夢」より


---------------------------

六井 象/I

 失恋した友人が髪の毛を短く切ってきた。
 彼女の髪の毛の中に、爆弾の導火線が一本混じっていたと知ったのは、それからすぐ後のことだった。


短編小説「鋏」より

個人サイト

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小石薫

美代子は必死だ。一生懸命に声を張り上げて、誰かが、聞いて、興味を持って、自分のいる教室のドアを開けてくれることを、ずっと待っている。
 伝えたいことがあると言った。
 私には、あるだろうか。伝えたいもの。伝えたい気持ち。私の中にあるのは、ぬるく、濡れそぼった、この、寂しさだけ。

短編小説「夕焼け校舎」より


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金魚風船


「私の事、好き?」


「え?」


「ごめん、いきなり」


「ごっつ好きやで」


「ほんとに?」


「当たり前やろ、俺のたった一人の娘なんやから」


「そっか」


間。



「やっぱ、別のことしよっか」


「え? なんで? 凄い楽しいのに」


「じゃあ、もっと楽しそうにやれよ。そんな下ばっかり見とったらな、楽しい事も嬉しいことも、いつの間にか全部通り過ぎてしまうぞ」

短編脚本「お父さん」より

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