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文芸サークル「鉄人四迷」のページ

文芸サークル「鉄人四迷」のページです。 オリジナルの小説・詩・脚本を発表しています。

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「ヴァニティ」(I)

夕暮れの砂浜。
寄せては返す波を見ながら、愛を語り合う恋人たち。
砂浜にぎっしり。
男と女、女と女、男と男……。
その中にぽつんと、体育座りの男が一人。
シルエットは二人。
男の傍らにはダッチワイフがいて、男はその肩を抱いている。
遥か遠くから雷鳴が聞こえてくる。

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「マザーファッカー」(金魚風船)

ある家のリビング。どこか親近感のあるパーマにエプロンをかけた母親が夕食の準備をしている。



「後は、これを十五分煮込んだら、完成っと」


上手から足音が聞こえてくる。



「お、ちょうど帰ってきたか。ケンちゃん、後もう少しでご飯出来るから、先に手洗ってきなさい……」


母親の言葉が終わらないうちに、黄色の帽子に黒いランドセルを背負い、服が泥だらけの男の子が現れる。そして、母親に一言。


子供
「マザーファッカー!!」

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「炭の街」(小石薫)

登場人物

柊葉子(柊)  美大二年
松原浩樹(松) 工芸品店店長
熊倉雅美(熊) 工芸品店の客
ナレーター(ナ) 柊と二役

*****


ナレーター
「2月28日」


カラコロと鈴の音



「聞いた? また火事だって」


「いらっしゃい。最近そんな話ばっかり聞くな。タバコ?」


「いいや、今度はストーブだって。お、新しいグラスだ」


「それ友達がさ、送ってきたやつなんだけど、どうだ?」


「琉球ガラスだね」


「そんなの、見れば解る。買ってくか?」


「この青、良いじゃない。実にすばらしい。買わないけど」


「たまには買ってけよ」


カラコロと鈴の音

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「つげ口」(I)

1

明け方のリビング。ソファに女が寝転んでいる。腹の大きな女。ソファの前にはテーブルがあり、その上に手付かずの夕食。ラップには露が溜まっている。女はそれを、澄んだような濁ったような目で見つめている。


時計の針が動く。


窓際に飾られた一枚の写真。女と、ここにいない女の夫が、仲睦まじげに写っている。


時計の針が動く。女の目がまどろんでくる。遠くから小さな足音が聞こえてくる。

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「毒と卵」(I)

1

白い壁に囲まれた小さな部屋が浮かび上がる。正面に小さな窓があり、夏の日差しが差し込んでいる。その日差しを浴びながら、若い女が椅子に座っている。女の前には簡素な机があり、机の上には小さな電話が置かれている。ドアが開き、年老いた男が入ってくる。男は女の向かいに座る。

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「お父さん」(金魚風船)


「お父さん」


「うん?」


「遊ぼ」


「しんどい」


「この間、一緒に遊ぶって約束したじゃない」


「そうやった?」


「そうだった!」


「忘れた」


「この嘘つき、くそジジィ!」


「誰がくそジジィじゃ、このくそガキ! せっかくの休み位休ませろ」


「……絶対、駄目?」


「うん、絶対」


「わかった……」


「……わかったわ、何したいねん?」


「本当!?」


「良いから気が変わらん内に早く言え」

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当サイトについて

文芸サークル「鉄人四迷」の作品を公開しています。
小説・詩・脚本を中心に、月ごとのテーマ読み物など随時更新中。
それぞれ違うタイプの作家たちによる、バラエティ豊かな作品をお楽しみください。(作者紹介はこちら。
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作者紹介

空疎

あなたはただのゼリーです
見える光は全部嘘
聞える音は全部嘘
あなたはただの
ふるえるゼリー
ひとりふるえる
ただのゼリー

中編小説「ゼリーの見た夢」より


---------------------------

六井 象/I

 失恋した友人が髪の毛を短く切ってきた。
 彼女の髪の毛の中に、爆弾の導火線が一本混じっていたと知ったのは、それからすぐ後のことだった。


短編小説「鋏」より

個人サイト

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小石薫

美代子は必死だ。一生懸命に声を張り上げて、誰かが、聞いて、興味を持って、自分のいる教室のドアを開けてくれることを、ずっと待っている。
 伝えたいことがあると言った。
 私には、あるだろうか。伝えたいもの。伝えたい気持ち。私の中にあるのは、ぬるく、濡れそぼった、この、寂しさだけ。

短編小説「夕焼け校舎」より


---------------------------

金魚風船


「私の事、好き?」


「え?」


「ごめん、いきなり」


「ごっつ好きやで」


「ほんとに?」


「当たり前やろ、俺のたった一人の娘なんやから」


「そっか」


間。



「やっぱ、別のことしよっか」


「え? なんで? 凄い楽しいのに」


「じゃあ、もっと楽しそうにやれよ。そんな下ばっかり見とったらな、楽しい事も嬉しいことも、いつの間にか全部通り過ぎてしまうぞ」

短編脚本「お父さん」より

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