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文芸サークル「鉄人四迷」のページ

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「位置について」(金魚風船)

テーマ:足音



明転。一人の男が床に寝そべっている。目覚ましの音。男、ゆっくりと目を覚ます。そして辺りを見回し、動き出そうとするが上手く動けず倒れこんでしまう。それを、何度も繰り返す。やっぱりだめ。男、だんだんとイライラし出し、叫ぶ。



「あーーーーーーーーーーーーーーー」


沈黙。男、もう一度叫ぶ。



「あーーーーーーーーーーーーーーー」


沈黙。男が更にもう一度叫び出そうとした、その時、一つの手が差し出される。



「あ?」

拍手

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明転。一人の男が床に寝そべっている。目覚ましの音。男、ゆっくりと目を覚ます。そして辺りを見回し、動き出そうとするが上手く動けず倒れこんでしまう。それを、何度も繰り返す。やっぱりだめ。男、だんだんとイライラし出し、叫ぶ。



「あーーーーーーーーーーーーーーー」


沈黙。男、もう一度叫ぶ。



「あーーーーーーーーーーーーーーー」


沈黙。男が更にもう一度叫び出そうとした、その時、一つの手が差し出される。



「あ?」


男は差し出された手をじっと見つめる。そして、しばらく迷った後に、ゆっくりと自分の手も差し出していく。すると握った手が、動き出し(足音の音)男は前傾に引きつられていく(引きつられる音)。男は初め、不思議そうな顔をしているが、ようやく少し微笑み暗転。


明転。


男は引きつられている。しかし、途中でふと隣の足音が気になる。



「?」


しばらく音の源を探すと、急に手に力を込めて止まる。差し出された手も止まり、音も止む。男、それを確かめ、また動き出すように顔で合図する。また動き出す。音が鳴る。男、確認して止まる。音が止む。もう一度合図する。音がする。男止まる。音が止む。男、ニンマリと笑って



「ははーん」


男、少し待ってくれと合図をすると、自分の片膝を前に持ってこようとする。最初はなかなか上手くいかないが、ようやく一つ前に進む。微かながら、コツというこもった音がする。もう片方の膝も前に動かす。また音がする。男、嬉しそうに笑って、右膝、左膝と交互に動かしていく(ちょうど赤ん坊がヨチヨチ歩きをする形)。音も初めはぎこちないが徐々に形になっていく。男、隣の人物に微笑みかける。そして、その男の音に合わせるように、もう一つの足音が重なり暗転。


明転。


手を支えられながらも、ヨチヨチ歩きで進む男。しかし、しばらくすると疲れてしまい、止まってしまう。



「はぁ……はぁ……はぁ……」


頑張って再度進むが、すぐに止まってしまう。しかし、急に何かを思いついたようで、隣にいる人物に両手を差し出し、持ってもらうと立ちだそうと始める。そして、ふらふらになりながらも立ち上がると、一歩を踏み出す。今までとは少し違う、確かな音がする。一歩、そしてまた一歩。それは男の動きに合わせて、どんどんリズミカルなものに変わっていき、隣の足音と重なり音楽のように響く。男、満面の笑顔。そしてどんどんスピードを上げていき、最高地点に達すると隣の手を振りほどき、一人で駆けだす。右に曲がり、左に曲がり、ジャンプなんかもしてしまう。男、笑う。



「あははははは」


そして、ふと後ろを振り向くと誰もいない。男、不安そうな顔になり必死で駆け回り探す。車のクラクションとたくさんの会話の声、そして雑然とした足音。男、座り込んで耳をふさぐ。しかし音だけはどんどんと大きくなる。頭を抱えるように蹲る男。ポンポンと肩を叩かれ(この瞬間、全ての足音が止む)、振り向くと手が差し出されている。男も顔をこすり、差し出す。そして、その手を連れられながら歩きだし大きく泣く。暗転。


明転。


チャイムの音。教室のざわめき。学生姿の男。両側には二人の人物を連れ(三つの足音)、肩を組みながら楽しそうに歩き、時にはふざけ合ったりもしている。しかし、ある地点でふと止まる。


スクリーンに右・左・真ん中と三つの道を表す映像が浮び上がる。


しばらく止まった後、右側の人物は右に行こうと男を引っ張る。すると左側の人物は左に行こうと男を引っ張る。男は迷ってしまう。尚も右の人物は右に、左の人物は左に。そして男は左の手を離し、右に行く。足音が二つになる。男は左を気にしているが、すぐに忘れてしまう。しばらく歩くと、左から新たに人物が加わりまた三人(足音が三つに戻る)で楽しそうに歩き出す。すると、また分かれ道。同様に右の人物は右に、左の人物は左に動こうとする。男、今度は左を選択する。また足音が二つになる。同様のことを数回、繰り返す。しかし男の顔には、徐々に暗い影の色が見え始める。そして数度目の分かれ道。やっぱり、道は三つある。右の人物は右に、左の人物は左に動こうとする。しかし男は、ただ真っすぐ前を見つめている。


沈黙。


右の人物が手を離し足音を残して去っていく。男はそれを見送る。次に左の人物が手を離し足音を残して去っていく。男、見送る。一人になった男は真ん中を見つめ直す。そして、どこか決意をした顔で一歩を踏み出し暗転。


明転。


プラットホーム。構内のアナウンスが響く。男は始めと同じ様に二つの足音と共に手をつなぎ歩いている。しかし始めとは違い、どこか男の方がその手を支えるように歩いている。立ち止まり、じっと下を向く。出発を知らせるアナウンス。男は手を離す。ドアの開く音。男は一歩踏み出す。ドアが閉まり、電車が動き出す。男、大きく手を振る。そして椅子に座り、外を眺める。暗転。


明転。


電車の中。男は時間を確認して準備を始める。電車が止まり、ドアの開く音。そして男がドアの外を出た瞬間、大量のしかし決して不快では無い足音。男は高揚に満ちた顔で歩き出す。しばらく歩くと何処からかジャズの音色が聞こえてくる。男が近づくと伴に音もまた大きくなる。そして建物の前に立ち、ドアを開けると、ジャズのピアノに合わせた楽しげな足音がドッと男の体に飛び込んでくる。男は中に進み、酒を頼む。酒を飲みながら、時たま自分もその音色に合わせて軽く体を動かしたりする。そこに、一つの上品なハイヒールの音が男の元にやってくる。男、緊張しながらも挨拶をし、ぎこちなく一緒に酒を飲む。しばらく一緒に酒を飲んでいると、ふと手が差し出される。男は少し驚き戸惑いながらも、自分の手を差し出し、一緒に外に出る。外は夜の街で活気に溢れている。男は恥ずかしそうに、にやけながらも幸せそうな顔。するとつながれた手が急に駆け出す。男も慌てて駆け出す。たまに二人で手を取り合い、踊りその二つの足音が夜の街に高らかに響く。徐々に、感覚を掴み始めた男は次第に自分がその手をリードするようになる。男は、自分の行きたい所に行きたい様につながれた手を引っ張る。しかし、男の行動は徐々にエスカレートしていき、それに合せ二つの足音もだんだんと噛み合わなくなっていく。ふとつながれた手が立ち止まる。男は「どうした」という顔でその方向を見るが、すぐに事を悟る。すぐさま弁解をし何度も謝るがハイヒールの足音は冷たく音を残し去っていく。男は一人になる。先程と同様に夜の街の音が聞こえてくるが、その音は先程とはうって変わって冷たく、攻撃的である。男は座り込んでしまう。やがて、その音も消え、辺りは闇と静けさで包まれる。男はゆっくりと立ち上がると、歩き始める。カツンカツンと寂しい音が鳴る。暗転。


明転。


スーツに眼鏡姿の男。片手には一枚の紙を持っている。高く聳え立つビルを見上げる。男は一つ深呼吸して、一歩前に踏み出す。ドアの開く音。男の足音も室内を表す、こもった音に変化する。男、一礼をして、一番左の椅子に座る。質問が右から順番に投げかけられ、男はその様子を横目でチラチラと見ている。そして、男の順番。男は、質問を聞き答える。その動作を数回行う。そして、全てが終わり男が立ち一礼した瞬間、舞台上にコンテストの勝者を表す音楽が鳴り、同時に何色ものスポットライトがグルグルと男の周りで弧を描く。「ダーン」という音が鳴り、男にスポットライトが当たる。男の前には両手が差し出され、男は驚きながらもがっちりとその手を握り返す。その瞬間、突風が吹き、男は飛ばされるように一回転しながら舞台の真ん中に移動する。運動会の開会式の音が鳴る。



「ON YOUR MARK」


「!?」


「ON YOUR MARK」


男、戸惑いながらも位置に着く。



「READY」


男、スタートのポーズ


ピストルの音。男、訳が分からず走り出す。たくさんの走る足音が響く。


スクリーンに文字が浮び上がる。


スクリーン
「徒競走」


「?」

スクリーン 
「会社に出勤し、タイムカードを押しなさい」


男、頷く。


スクリーン
「ただし」

男 
「?」

スクリーン 
「課長が来るまでに」


その瞬間、ネッケの『クシコスポスト』が鳴り、周りの足音が急に慌ただしくなり、男を追い越していく。


男 
「!」 


男も慌てて、全速力で走る。どんどん走る。そして多くの足音に追いつき、追い越し、そのまま会社の自動ドアをくぐり抜け、その勢いでタイムカードを押す。その瞬間、ピーという笛の音。課長が現れ、男は挨拶する。するとバタンと後ろのドアが軋んだ音をたてながら閉まる。足音の数が減る。男は、再び走り出す。


スクリーン
「玉入れ」

男 
「……」

スクリーン 
「時間内に出来るだけ多くの言葉を」

男 
「……?」

スクリーン 
「部長のツボに入れなさい」


ピストルの音。


男 
「競馬! 努力! 気合! 根性! 山口百恵! V9! 幸せの黄色いハンカチ! UFO! アポロ月面着陸! ロッキード事件! 沢田研二、勝手にしやがれ! オレたちひょうきん族! ……えーっと……バブル時代の栄光! 挫折! そしてそこからの立て直し! ……えーっと……えーっと……JK!」


笛の音。男、後ろからポンポンと肩を叩かれ、振り向き、恥ずかしそうに一礼。ドアの閉まる音。また、足音は減っている。男、走り出す。


スクリーン 
「綱引き」

男 
「……」

スクリーン 
「とにかく」

男 
「?」

スクリーン 
「勝ちなさい」

男 
「!」


ピストルの音。男の準備が遅れる内にかなりの縄を引かれるが男も慌てて縄を持ち、対抗し徐々に自分の元へ手繰りよせる。かなり、引き寄せた所で笛の音。男、後ろ向きに盛大に転ぶ。ドアの閉まる音。足音、減る。


男 
「……」


そして、走り出す。


スクリーン 
「障害物競争」

男 
「……」

スクリーン 
「まぁ」

男 
「……」

スクリーン 
「頑張りなさい」


男、適当に頷く。


ピストルの音。


地面に曳かれたネットが登場し、男はその中に入っていく。その途中でスクリーンに文字が浮び上がる。


スクリーン1 
「なぁ」

スクリーン2 
「うん?」

スクリーン1 
「この会社さ」

スクリーン2 
「うん」

スクリーン1 
「どう思う?」

スクリーン2 
「どういうこと?」

スクリーン1 
「なんか先が見えないっていうか、方向性が分かんないっていうか」

男 
「……!?」

スクリーン2 
「確かにね。給料も全然上がんないし」

スクリーン1 
「俺さぁ」

スクリーン2 
「うん?」

スクリーン1 
「別の会社からヘッドハンティングされてんだよね」

スクリーン2 
「マジ?」

スクリーン1 
「うん。マジ」

スクリーン2 
「すごくね?」

スクリーン1 
「うん、すげえ。多分、俺すげえ」

スクリーン2 
「いいなぁ」

スクリーン1 
「給料二倍」

スクリーン2 
「え!? マジで!? そんな良い話ねぇよ」

スクリーン1 
「あんだよ、それが。でさ、その会社が他にも優秀な奴いるんなら、そいつも連れて来ても良いって言うんだけど……お前どう?」

スクリーン2 
「え……! ほんとに……!?」

スクリーン1 
「ほんとほんと。だって、ほら俺ら友達じゃん?」

スクリーン2 
「おまえー」

スクリーン1 
「で……」

スクリーン2 
「お前はどうする?」

男 
「……!」


男、ネットの中で頭を抱えて逡巡する。しかし思い切ったように首を振ると、そのまま抜けていく。すると、平均台が現れる。男、落ちないようにそーっと上に立ち、歩き出す。すると、またスクリーンに文字が浮かぶ。


スクリーン3 
「ねぇ」

スクリーン4 
「どうしたの?」

スクリーン3 
「あの人……どう思う?」

スクリーン4 
「あの人?」

スクリーン3 
「うん、あの人」

スクリーン4 
「あぁ、あの人ね」

スクリーン3 
「うん」

スクリーン4 
「……頑張っちゃってるよね」

スクリーン3 
「ねぇ……」

スクリーン4 
「なんかあそこまで張り切られると、こっちがやる気無いみたいな」

スクリーン3 
「そうそう、そんなに出世したいのかよって感じ」

スクリーン4 
「こないだもさ、必死で部長に気に入られようと話仕込んで来てさ」

スクリーン3 
「ああ、あった! あった! 無理に古い話ばっかりして」

スクリーン4 
「なんだよ、ロッキード事件って。アメリカの事件まで知らねぇよ」

スクリーン3 
「そういうのがなんか必死っていうか、暑苦しいっていうか……」

スクリーン4 
「嫌だよね」

スクリーン3 
「うん」


男、普通にへこむ。


スクリーン4 
「つーかさ」

スクリーン3 
「何?」

スクリーン4 
「あいつ、くさくね?」


ズキンという音がして男、よろけ平均台から思わず落ちそうになる。しかし、片足一本でなんとかこらえると体勢を立て直し、泣きそうになりながらも越えていく。次はハードル。男が一つ飛び越えていく度にスクリーンには「こけろ」「ゼロの数、一個見落とせ」など、誹謗中傷の文字が浮かび上がる。男は全て飛び越えていく。パン食い競争。男がジャンプし、パンをくわえようとする度にスクリーンには「見て見て、超必死! うけるんですけど!」「そんな無様なことしてねぇで、俺達の会社来いよ」「くさい」の様な文字が浮かぶ。しかし男は数度目のジャンプでパンをしっかりと口で掴むと走り出し、身も心もボロボロになりながらもゴールする。笛とドアの閉まる音。男は座り込んでしまう。


スクリーン 
「おつかれさまでした。次で最後です」


男はうなだれている。


スクリーン 
「借り物競争」


男はもう諦め、帰ろうとする。


スクリーン 
「契約を取ってきなさい」 


男、はっと顔が変わり……前を向き走り出す。足音はもう男のもの以外聞こえない。男はその途中で社内会議、資料作成、取引先との交渉、保留、更なる会議、そして徹夜の資料作成の流れを舞台全体を使いながら駆け回り行う。そして、数度目の交渉でしっかりと握手し、契約を取ることに成功する。男、最後の力を振り絞って走り、ゴール。笛の音。


沈黙。


遠くから少しずつ、拍手と足音が聞こえ始める。その音は徐々に舞台全体に広がり、最後には割れんばかりに鳴り響く。男はたくさんの人に握手を求められたり、肩を叩かれたりして祝福を受ける。暗転。


明転。


楽しそうな足音と笑い声が聞こえる。男がジョッキを持って立ち、上に高く掲げると、ジョッキを重ねる音と歓喜の声で満ち溢れる。男も楽しそうに酒を飲んでいる。すると横からちょんちょんとつつかれ、横を向くと同僚がある場所を指さしている。男、そちらを向くと急に照れた笑い顔になり、頭を下げる。同僚が男の背中をドンと叩く。男、酒を吹きこぼしそうになる。同僚のあっちに行けという仕草に男は大袈裟に慌て否定するが、最終的には自分からその人物の元に移動する。そして、一礼をすると隣に座りぽつぽつと話し始める。初めは何処かぎこちない様子で会話しているが、徐々に打ち解けていく。男はふと立ち上がると外に出ようと合図する。そして一歩踏み出す。その瞬間、先程の賑やかさとは、うって変わってもの静かな雰囲気。遠くからは先程の居酒屋の音が聞こえる。二人の足音だけが静かに響く。しばらく黙って歩いているが、男は急に立ち止まると頭を下げ両手を差し出す。その手はしっかりと握り返される。男の顔に笑みが溢れ、子供の様に喜んでいる。そして男はそのままの勢いで一緒に駆け出そうとするが、すぐに思い直し、ゆっくりと歩き出す。二つの足音が心地よく響く。


男は歩く。周りの音は夜の街から、午後のやんわりとした日常の音へ変わっていく。しばらく歩くと、男は一回転し舞台中央から少し端にずれる。足音が三つになる。男は立ち止まって空を見上げ幸せを噛みしめる、そして両手を伸ばし深呼吸をしようとした瞬間、携帯電話の音。男、電話に出る。少しずつ、顔が青ざめていく。暗転。


明転。


電車の音。男は椅子に座りながら、じっと下を向いている。電車の止まる音。男が立ち上がり、一歩踏み出した瞬間、医療器具がぶつかる音。その中に弱々しい足音が一つ聞こえる。男、少し屈んで目の前の手をぎゅっと握り、祈るように頭を下げる。しかし、その足音は少しずつ感覚が長く、小さくなり、そして消える。男、そっと手を下ろし、立ちあがると一歩踏み出す。


辺りは、商店街や人々の活気でいつも通り賑わっているが、男の足音だけが異様に響く。やがて、周りの音は消え去り、最終的には男の足音だけになる。男、立ち止まる。何の音も聞こえ無い。男は呆然としているが、この時ゆっくりと体を後ろにし、初めて舞台に背を向ける。すると、どこからか足音が一つ遠く聞こえてくる。そしてこの音を境に今回の舞台で使用された全ての足音達が順を辿り流れ出す。その音達は徐々に絡み合い、最終的には一つの物語のようにも聞こえる。やがて三つの足音が聞こえ始める。そして、周りの音は徐々に消え去り、最後には三つの足音だけが響き、消える。


男は前を向く。そして一歩。


暗転。足音が一つ聞こえる。

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作者紹介

空疎

あなたはただのゼリーです
見える光は全部嘘
聞える音は全部嘘
あなたはただの
ふるえるゼリー
ひとりふるえる
ただのゼリー

中編小説「ゼリーの見た夢」より


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姉妹は仲の悪いまま年老いて
 町は背を伸ばし肥え太る
幾度かの通夜と性交を経て
 雪は降らなくなった
生まれた家は駅に食われたが
 風は相変わらず強く吹いている
姉妹は仲の悪いまま年老いたが
 市長に品が無い
 という意見だけは一致している


「姉妹は」より

個人サイト

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小石薫

美代子は必死だ。一生懸命に声を張り上げて、誰かが、聞いて、興味を持って、自分のいる教室のドアを開けてくれることを、ずっと待っている。
 伝えたいことがあると言った。
 私には、あるだろうか。伝えたいもの。伝えたい気持ち。私の中にあるのは、ぬるく、濡れそぼった、この、寂しさだけ。

短編小説「夕焼け校舎」より


---------------------------

金魚風船


「私の事、好き?」


「え?」


「ごめん、いきなり」


「ごっつ好きやで」


「ほんとに?」


「当たり前やろ、俺のたった一人の娘なんやから」


「そっか」


間。



「やっぱ、別のことしよっか」


「え? なんで? 凄い楽しいのに」


「じゃあ、もっと楽しそうにやれよ。そんな下ばっかり見とったらな、楽しい事も嬉しいことも、いつの間にか全部通り過ぎてしまうぞ」

短編脚本「お父さん」より

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