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文芸サークル「鉄人四迷」のページ

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「にまつわるエトセトラ」(I)

テーマ:狐のお面



01

時間:昼時

場所:ファミレスのサラダバー

人:若い主婦

シーン概要:若い主婦が皿とトングを手に持ったまま、呆然と立ち尽くしている。彼女の目の前にはサラダバーがあるが、周囲にカラスよけのCD(ポケビとか)と、狐のお面が嫌というほど吊り下げられている。女、視線を感じて厨房の方に目を向ける。黒い、もやっとしたものが女をじっと見ている。

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01

時間:昼時

場所:ファミレスのサラダバー

人:若い主婦

シーン概要:若い主婦が皿とトングを手に持ったまま、呆然と立ち尽くしている。彼女の目の前にはサラダバーがあるが、周囲にカラスよけのCD(ポケビとか)と、狐のお面が嫌というほど吊り下げられている。女、視線を感じて厨房の方に目を向ける。黒い、もやっとしたものが女をじっと見ている。


*****


02

場所:男子更衣室

人:男子生徒、女子生徒

シーン概要:更衣室の壁にキリで穴を開けている男子生徒。やっと向こうに貫通する。汗だく。ドキドキしながら穴を覗く。ちょうど女子が着替えている。思わずガッツポーズした次の瞬間、女子が全員、両乳に狐のお面をはめていることに気づく。


*****


03

場所:川

人:狐のお面をかぶった女

シーン概要:川上から大きな桃が流れてくる。逆さにした洗濯籠の上に腰かけた狐のお面の女が、細長い煙草を吸いながらそれを眺めている。大きな桃がゆっくり川下に去っていく。


*****


04

時間:深夜

場所:街灯が点々と続く寂しい路地

人:尋ね猫、全裸男

シーン概要:夜道。電柱に貼られた「猫を探しています」のポスターと、不細工な猫の写真。その横のブロック塀に貼られた「注意! 全裸男出没」のポスターと、狐のお面をかぶった中年男の写真。少し離れた路地で取っ組み合いの喧嘩をしている不細工な猫と、傷だらけの全裸男。


*****


05

場所:銀座あたりの高級寿司店

人:品のいい老夫婦、板前(毛深い)

シーン概要:カウンター席に熟年夫婦が座っている。目の前のガラスケースには狐のお面が一つ転がっているだけ。しかし寿司はちゃんと出てくる。しかも旨い。


*****


06 (1)

場所:蟹の家

人:子蟹、栗、蜂、臼、牛糞、培養液の中で無数のコードに繋がれた巨大な狐のお面

シーン概要:蟹の家。母蟹の遺影の前で、しくしくと泣き崩れる子蟹。周りには栗、蜂、臼、牛糞、培養液の中で無数のコードに繋がれた巨大な狐のお面がいて子蟹を慰めている。



06 (2)

時間:(1)から数時間後

場所:猿の家

人:子蟹、猿、栗、蜂、臼、牛糞、培養液の中で無数のコードに繋がれた巨大な狐のお面

シーン概要:猿の家。栗、蜂、臼、牛糞に手足を押さえつけられ、培養液の中で無数のコードに繋がれた巨大な狐のお面に触手で体液を吸われている猿。涙を拭いて、てっへへへ……と笑う子蟹。


*****


07

場所:のび太の部屋

人:ドラえもん、ネズミ

シーン概要:ドラえもんが一人で漫画を読んでいるところに、ネズミが現れる。パニックになりポケットを探るドラえもん。「これじゃない」「これじゃない」と言いながら放り投げるガラクタが、全て狐のお面。


*****


08

時間:夕方

場所:高校のグラウンド

人:野球部の生徒たち、狐のお面をかぶったおばさん

シーン概要:夕日を一杯に浴びた高校のグラウンド。汗を輝かせながら高校球児たちが練習に励んでいる。その様子をバックネット裏でひっそり眺めている狐のお面をかぶったおばさん。狐のお面には油性ペンで「目指せカッちゃん、甲子園!」と殴り書いてある。


*****


09(1)

時間:夜

場所:狭いアパート

人:独身男

シーン概要:結婚式帰りの男。汚い畳にあぐらをかいて、引き出物の箱を開ける。中に入っているのは狐のお面。おでこの部分に新郎新婦のプリクラが貼ってある。



09(2)

時間:(1)から数日後の朝

場所:狭いアパート

人:独身男

シーン概要:男、狐のお面を皿がわりに焼きうどんを食っている。


*****


10

場所:ボウリング場

人:中年男性

シーン概要:中年男性が一人でボウリングにいそしんでいる。ストライクを取る。ガッツポーズで席に戻る男性。ジュースを飲んで待っていると、ボールが戻ってくる機械から、狐のお面がにゅっと出てくる。


*****


11

場所:リサイクル工場

人:小学生の団体、引率教師、工場長

シーン概要:工場を見学している小学生たち。ペットボトルのリサイクル工程を説明している工場長。隅でパンフレットを読んでいる引率の教師。「ペットボトルはこんなものにリサイクルされます」というページに載っている具体例が、狐のお面のみ。


*****


12(1)

場所:破壊された街

人:巨大ロボ、怪獣、逃げ惑う人々、女の子

シーン概要:めちゃめちゃになった街で怪獣が暴れている。逃げ惑う人々。その人波に巻き込まれ、女の子が転んでしまう。そこへ怪獣の足が迫る。絶体絶命。その時、怪獣の体が何者かに殴られ吹き飛ぶ。女の子が顔を上げると、巨大ロボが大地に立っている。歓声をあげる人々。怪獣、むくりと起き上がり、ロボに突進していく。格闘が始まる。



12(2)

時間:(1)と同じ時間

場所:巨大ロボの内部

人:小柄な老人

シーン概要:巨大ロボの内部。大小様々な歯車に囲まれたエネルギー炉の前に、小柄な老人。老人は横には古い木箱のようなものがあり、中に狐のお面がぎっしり詰まっている。狐のお面にはお札が貼ってあったり、血っぽいものが付いていたりするものもある。老人、お構いなしに狐のお面を次々とエネルギー炉にくべていく。歯車がガンガン動く。


*****


13

場所:ホテルのトイレ

人:礼服の男

シーン概要:礼服の男が便器に座って用を足している。一息ついてウォッシュレットのボタンに手を伸ばす。“強”の横に、狐のお面のマークが描かれている。


*****


14

時間:真っ昼間

場所:公園

人:スーツ姿の男、公園の人々

シーン概要:親子連れや散歩の人々が、公園の隅に生えている木を遠巻きに眺めている。木の前にはスーツの男。何かぶつぶつ言いながら、木の枝に狐のお面を吊り下げている。三つ吊り下げたところで、男が懐から小さな看板を取り出し、木の根元に植える。看板には「ダチョウ倶楽部」と書かれている。


*****


15(1)

時間:早朝

場所:古い神社 → 塀(のようなもの)

シーン概要:町外れに佇む、古い神社。人気はないが、ある種の念が立ち込めていることがすぐにわかる。鳥居は妙に綺麗だが、そこに貼られたお札はとてつもなく古い。空は晴れているが、お堂の中からは雨音が聞こえてくる。この神社には入り口も出口もない。周りはすべて鬱蒼とした森のようなものに囲まれている。よく見ればそれは、おびただしい数の狐のお面と、どす黒い蔦が絡まり合って一つになり、巨大な塀になったものである。



15(2)

時間:(1)から少し経った時間

場所:塀(のようなもの)の前

シーン概要:パンをくわえた女子高生が走っている。と、塀(のようなもの)の角からイケメン男子が飛び出してきて……!?


*****


16

場所:コンビニの店先

人:若いOL、自転車に乗ったおばさん

シーン概要:雨が降っている。ビニール傘を差した若いOLがやってきて、傘立てに傘を置き、コンビニに入る。そこに自転車に乗ったおばさんが通りかかる。OLの傘を見つける。おばさん、周りを確認し、傘を盗んで去っていってしまう。すぐにコンビニから出てくるOL。傘が無いことに気づく。ため息をつき、空を見上げ、もう一度ため息。持っていたコンビニ袋の中から狐のお面を取り出し、傘がわりに頭に掲げ、小走りで去る。


*****


17(1)

時間:昼

場所:子供部屋

人:母親

シーン概要:子供部屋に掃除機をかけている母親。ふとベッドの下を覗くとエロ本が数冊散らばっている。ため息をつきつつエロ本を拾い集める母親。



17(2)

時間:夜

場所:子供部屋 → 台所

人:母親、中学生の息子

シーン概要:飯を食べ終えた息子が部屋に入ると、机の上にエロ本が綺麗に揃えて置かれている。息子が慌てて台所に戻ると、母親が狐のお面をかぶって座っている。


*****


18

場所:ボロアパートの一室

人:ジャージ姿の中年男

シーン概要:狭い部屋にちゃぶ台。その前に男が座っている。ちゃぶ台の上にはカレー皿に盛られたご飯と、スプーン。男の手にはお湯から上げたばかりのレトルト食品の袋(カレーの袋に見える)。男、袋の口を切り、ご飯の上で逆さにする。中から狐のお面が出てきて、ご飯の上に盛られる。男、スプーンでザクザクと狐のお面を砕きながらご飯と混ぜる。と、男が突然顔をしかめて動きを止める。そしておもむろに口の中に指を突っ込む。取れた銀歯が出てくる。男、しばらく銀歯を見つめ、悲しそうな顔をして不貞寝。ご飯だけがさびしく湯気を立てている。窓の外で日が暮れていく。

*****


19

時間:深夜

場所:コインランドリー

人:ふんどし男、警官

シーン概要:乾燥機が一つ回っている。その前にふんどし姿の男が仁王立ち。乾燥機の中には、忍者服や水の上を歩く履物、狐の面などがグルグル回っている。やがて乾燥機が止まる。ふんどし男、中から忍者服などを取り出す。なぜか狐のお面がめちゃくちゃ縮んでいる。呆然とするふんどし男。その背後から近づいてくるパトロール中の警官。


*****


20(1)

時間:深夜

場所:廊下

人:幼い娘

シーン概要:トイレから出てきた娘が暗い廊下を歩いている。と、仏間の前を通りかかったとき、何か異様な雰囲気を感じる。慌てて駆け出す娘。顔は恐怖で引きつっている。



20(2)

時間:深夜

場所:両親の寝室

人:幼い娘、父親、母親

シーン概要:娘、「パパ! ママ!」と叫びながら寝室のドアを勢いよく開ける。と、そこには黒革ボンテージに身を包んだ母親(手には鞭とロウソク)と、ギャグボールを噛まされて裸で四つんばいの父親。時間が止まったかのような瞬間。父親のケツの穴には色々なモノが突っ込まれ、黒煙まで立ち昇っている。静かに響くバイブの音。固まって動けない娘。よだれまみれで喋れない父親。母親、慌てて「これは、パパの、痔の治療を……」と苦しい言い訳。深夜の地獄絵図。



20(3)

時間:深夜

場所:仏間

シーン概要:狐のお面が所在なさげに仏間をふわふわ飛び回っている。



<了>

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作者紹介

空疎

あなたはただのゼリーです
見える光は全部嘘
聞える音は全部嘘
あなたはただの
ふるえるゼリー
ひとりふるえる
ただのゼリー

中編小説「ゼリーの見た夢」より


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姉妹は仲の悪いまま年老いて
 町は背を伸ばし肥え太る
幾度かの通夜と性交を経て
 雪は降らなくなった
生まれた家は駅に食われたが
 風は相変わらず強く吹いている
姉妹は仲の悪いまま年老いたが
 市長に品が無い
 という意見だけは一致している


「姉妹は」より

個人サイト

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小石薫

美代子は必死だ。一生懸命に声を張り上げて、誰かが、聞いて、興味を持って、自分のいる教室のドアを開けてくれることを、ずっと待っている。
 伝えたいことがあると言った。
 私には、あるだろうか。伝えたいもの。伝えたい気持ち。私の中にあるのは、ぬるく、濡れそぼった、この、寂しさだけ。

短編小説「夕焼け校舎」より


---------------------------

金魚風船


「私の事、好き?」


「え?」


「ごめん、いきなり」


「ごっつ好きやで」


「ほんとに?」


「当たり前やろ、俺のたった一人の娘なんやから」


「そっか」


間。



「やっぱ、別のことしよっか」


「え? なんで? 凄い楽しいのに」


「じゃあ、もっと楽しそうにやれよ。そんな下ばっかり見とったらな、楽しい事も嬉しいことも、いつの間にか全部通り過ぎてしまうぞ」

短編脚本「お父さん」より

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